有限会社ニッティ・グリッティ
代表取締役社長
15歳で音楽のキャリアをスタートさせ、20歳でインディーズデビューした後、広告を出すことが売れるための近道と気づき、営業力を身に付けるために平成18年にコンサルティング会社に入社し、2年で支社長に昇格して売上を倍増させた。平成22年に楽曲制作の個人事業を始め、平成26年には二代目として有限会社ニッティ・グリッティの代表取締役に就任。
通訳業からWEB中心のホームページ成績上げ屋さんにシフトチェンジし、承継から4年で売上5倍を達成。血液型はO型。好きな食べ物は、酢豚とトムヤムクン。インドカレーを好んで食し、チキン南蛮を食べさせると喜ぶ。おはぎに目がなく、豚汁を与えた際にはおかわりをねだる。アップルパイ好きは有名で、サバの味噌煮が食卓に並ぶとじっと見つめた後に嬉しそうに口に運ぶ。そんな小笠原の3大好物は、カルボナーラと鯛茶漬けとビビンバ。一説によると「ビビンパ」が正しい表記とも言われている。本人曰く、最後の晩餐で食べたいのは、ふろふき大根。
私が経営者として最も大切にしているのが、「絆徳(ばんとく)」という哲学でもありマーケティングの手法でもある考え方です。これは、相手に”よいこと”をして(徳)ずっと一緒にいられる関係性(絆)をつくります。その関係性の中で、共に共通のゴールを目指していくという考え方です。一見複雑に思えるかもしれませんが、その本質は非常にシンプルです。「相手はどんな人で、何を求めているのか」を永遠に問い続けることが、全ての基本となるからです。
この手法の素晴らしい点は、相手を見て”対立関係”を築くことなく、「共通のゴール」を見てゴール達成のために”助け合う関係”を築いていくことにあります。
相手を見ている以上、どんなに相性の良い人でも、必ず何かが目につき、いつかぶつかります。顧客と企業、上司と部下という図式で対立関係を作らないのです。相手と共に「共通のゴール」を設定し、目線を”相手”から”ゴール”にズラします。その結果、お互いがこの「ゴール」を目指すサポーターという関係を構築することになるのです。
自分の成功と成長のみを考えサポートし続けてくれる人や企業を切り捨てる人は中々いません。その結果、相手が顧客であれば、紹介やリピートが生まれ、新規顧客獲得コストが下がり、生産性と利益率が高まります。相手が社員であれば、定着率が高まり、経験や教育レベルが高まりますますので、生産性が高まり、尚且つ辞めないので、採用コストが下がります。
理念ばかりを追求して社員が疲弊していく組織でも、経済だけを追求して、社員を使い捨てる経営とも違い、理念と経済合理性が完全に両立するのです。
私たちは以前、「プロダクトローンチ」という西洋式のマーケティング手法を実践していました。この手法は当初、大きな成果を上げましたが、多くの企業が真似を始めると効果が薄れていきました。なぜなら、これは見込み顧客の興味のあることや課題の解決になりそうな特典(無料のレポートやノウハウ動画など)を用意し、それを得ようと登録したメールアドレスに商品が欲しくなるように教育的要素の大きなメールマガジンを配布し、ニーズやウォンツを高めますが、まだ買えないとジラします。ここぞというタイミングで限定枠を解放し、オファーをかけるという手法で、最初消費者は購買意欲に対して強い刺激を受けるようでパワフルに反応してくれましたが、競合も真似し始めると次第にそれらの手法の刺激に慣れ、徐々に反応が薄くなっていったのです。マーケティングにも流行り廃りがあるのです。
一方、絆徳マーケティングは基を辿れば江戸時代(二宮尊徳翁)から続く、人間本来の性質に基づいているため、その効果は普遍的です。SNSの台頭により、今や情報の透明性が強く求められる時代になりました。消費者は企業の本質を見抜くようになり、単なる広告や表面的なアプローチでは心を動かせなくなっているのです。これは、「きれいごと」が経済合理性を生む時代が到来したとも言えます。
この変化は、実は日本人が大切にしてきた「背筋を正して商いをする」という感覚が、世界のスタンダードになってきたことを意味します。絆徳マーケティングは、このような時代に最も適合したアプローチなのです。実際、私たち自身がこの理念に基づいたビジネスモデルにシフトしてからは、売上が大きく伸びただけでなく、お客様との関係性もこれまで以上に深まっています。
この考え方はビジネスだけでなく、あらゆる人間関係にも応用が可能です。私自身、どんなに忙しくても家庭を大事にし、常に家族の気持ちに寄り添うよう心がけています。そうすることで家族との強い絆が育まれ、仕事での大きな活力になっているのです。
現在、弊社が最も力を入れているのが、AIで3年辞めない社員を集める採用サイト作りです。このサービスで最も提供したい価値は「感覚採用」をやめて「データ採用」に切り替えましょう!ということです。このサービスの特徴は、人格特性診断によって人格を科学的に分析し、その企業や部署における採用や配置の”勝ちパターン”と”負けパターン”を感覚ではなく定量的に言語化できる点にあります。その信頼性は、実際の検証プログラムでも実証されました。ある大規模な実証実験では、400人の若手・学生に人格特性診断を実施したところ、AIが「3年未満に退職する」と名指し判定された40人全員が、的中率100%で実際に予測通りの結果となったのです。これは、偶然では説明できない精度です。
従来の採用サイトの多くは、魅力的なビジョンや社員の声の掲載ばかりに注力しています。確かにそういった情報も、求職者が会社を選ぶ判断基準のひとつですが、彼らが本当に知りたいのは、「自分がこの会社に入ったら、どんな仕事をして、どんな生活を送れるのか」という具体的なイメージです。そこで弊社は、現在活躍している人財の人格データを収集し、データ分析を行います。活躍人財のデータ上の共通点から”勝ちパターン”を言語化していきます。その逆で辞めていく人のデータ上の共通点から”負けパターン”も明確にします。弊社では、「あなたみたいな人はこんな風に活躍、成長しているよ」と、この勝ちパターン人財に刺さるメッセージやクリエイティブの入った採用サイトを制作しています。勝ちパターン人財の大事にしている価値観や、こういう伝え方をすれば伝わるというコミュニケーションスタイルまで把握しているので、このメッセージに反応してエントリーしている時点である程度勝ちパターン人財にフィルタリングされていることになります。
これにより、採用時のミスマッチを防ぐだけでなく、長期的な人材定着にもつながっています。単なる採用時のマッチングだけでなく、このデータを活用すれば採用後のマネジメントまでサポートできる点が、弊社が自信を持って提供する採用支援サービスです。
また、在職中の社員に対しては、一人ひとりの特性に合わせた画期的なマネジメントサポートを提供しています。上司の経験や勘が大きな影響を与えていたこれまでの人材育成とは異なり、弊社のシステムでは、データに基づいた科学的なアプローチが可能です。例えば「この社員は数値目標を示すことでモチベーションが高まる」「この社員には裁量権を与えることで成長が加速する」「この社員には小さな成果でもこまめな承認が効果的」など、個々人に最適化されたマネジメント手法が導き出せるのです。これにより、従来では何年もかかっていた社員の育成プロセスは大幅に短縮し、効率的かつ効果的に、企業の組織づくりが可能になりました。「組織は人なり」という言葉がありますが、弊社はその本質を科学的なアプローチで実現できていると自負しています。
私には本気で成し遂げたいビジョンがあります。それは、「20年後、日本のGDPを世界一にすること」。これは決して夢物語ではありません。現在の日本の技術力は、紛れもなく世界最高峰を維持しています。人類の歴史を変えたスマートフォンには、多くの日本製部品が使われており、日本企業の高度な技術なくして現代のモバイル技術の発展は考えられません。
しかし、このような高い技術力がありながら、最も儲けているのはリンゴのマークの巨大テック企業です。なぜならば、我々がマーケティングを学んで来なかったからです。また、私たち日本人自身が、自らの強みや価値観を十分に理解できていないからだと考えています。
日本には「分かち合い」と「恩送り」という、長い歴史の中で培われた独自の価値観があります。これは、殺し合いや奪い合いの歴史から生まれた西洋の価値観とは本質的に異なるものです。東日本大震災の際、日本人が示した秩序ある行動は世界を驚かせました。これは、宗教ではなく「空気」で道徳が機能する、世界でも稀有な民族性の表れだと思うのです。
このような日本人特有の価値観は、歴史的な成果となって表れています。例えば、サイン、コサイン、タンジェントといった計算手法は、世界に先駆けて日本で生み出されたと言われており、現代の先物取引の仕組みも、元々は大阪で始まったとされています。さらには、日本の文明はインダス文明と同時期に生まれた古代文明の一つであり、地球上で唯一、現存している古代文明国家なのです。
このような日本人の民族性や価値観は、現代のビジネスにおいては非常に大きな強みです。なぜなら、現代はグローバル化が進む中で「持続可能性」や「社会との調和」こそが重視される時代であるからです。日本人の「分かち合い」「恩送り」の精神は、まさにこの時代に求められる理念と合致しています。このような日本固有の強みと価値観があればこそ、私は実現できると確信しているのです。日本のGDPは必ず世界一になれる、と。
現在の日本企業には大きな課題があります。それは、マーケティングやマネジメントについて十分な経営者教育を受けた経営者が少ないために、多くの企業が事業の継続や円滑な運営に苦心していることです。その結果、期待される成長を実現できていない企業が数多く存在しています。このような深刻な状況を打開するため、私たちは次世代の経営者育成にも力を入れています。
この取り組みでの特徴は、単にマーケティングやマネジメントの教育だけでなく、「体の健康」「思想の健康」「経済の健康」という3つの軸を設定し、総合力のある経営者の育成を目指していくところにあり、有志の経営者仲間とともに、歴史的な偉人の足跡を実地で学ぶプログラムや、優れた生産現場での実践的研修なども実施したいと考えています。座学だけでなく実地での学びを重視することで、より実効性の高い経営者育成が実現できるのです。
なぜ経営者教育なのか。それは、学校教育の改革には時間がかかりすぎるからです。一方、経営者は社員や取引先、地域社会に対して強い影響力を持っています。正しい知識と理念を持った経営者が増えれば、その影響は社員を通じて家族へ、さらには次世代へと広がっていきます。今の日本で最も影響力があるのは、政治家でも芸能人でもなく、経営者なのです。
20年後、日本の人口は現在の1億2,500万人から9,500万人程度まで減少すると予測されています。この人口減少は確かに大きな課題ですが、私はこれを克服できると確信しています。そのためには、海外から日本にどんどん資金を呼び込む必要があります。企業の成長に関わる法人の所得税と個人の所得税は国の税収の約49%を占めており、企業の成長は直接的に国力の向上につながります。
私たちは、次世代に市場が縮小した企業や事業を継承させたくありません。だからこそ、今、経営者育成を通じて日本企業の底力を引き出し、世界に通用する企業を増やしていく必要があるのです。正しい思想と健康な体、そして原理原則に基づいたマーケティングと確かなマネジメントスキルを持った経営者が増えていけば、人口減少下でも経済圏を拡大できます。それこそが私たちの果たすべき使命であり、日本の輝かしい未来への道筋なのです。今こそ、日本企業の底力を世界に示す時が来ています。ここからの20年は、このビジョンの達成にのみ時間と情熱を使う所存です。