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【日本をリードする経営者・大石崇徳の挑戦】

SAMURAI CEO2025

株式会社エアトリ
取締役会長・グループ創業者

大石 崇徳

1972年生まれ。明治大学在学中に株式会社エアトリの前身の会社を起業し、2007年に株式会社エアトリを共同創業し、取締役会長に就任。2016年に東証マザーズ上場、2017年に東証一部に鞍替え上場。2018年に株式会社DeNAトラベルを子会社化。その後、子会社の株式会社まぐまぐが東証JASDAQに、グループ会社の株式会社ハイブリッドテクノロジーズが東証マザーズに、子会社の株式会社インバウンドプラットフォームが東証グロースに上場。複数社、上場準備中。2024年通期の連結取扱高は1,235億円の実績。

沖縄の魅力に惹かれ明治大学在学中に起業、目の前の仕事に懸命に取り組む日々

私は1995年の明治大学在学中にエアトリの前身となる旅行会社を設立しました。

当時、沖縄という場所の魅力に心惹かれていた私は、仕事で沖縄に携わりたいという思いから旅行会社を設立しています。

また、大学卒業を待たず起業した背景には弁護士であった父が他界し、早く社会でチャレンジしたいという思いもありました。

しかし社会人経験のない学生起業だったこともあり、そこに緻密な戦略や明確なビジョンはなく、

まさに”行きあたりばったり”の会社創業でした。

それに対して旅行業界は大手旅行会社が牽引する業界。

1人の無名大学生が思い描いたビジネスプランはなかなか通用せず、苦戦の日々が続きました。

大学を中退し土日も休むことなく懸命に働きましたが、事業はなかなか軌道に乗らず、金融機関や母親や親戚からの借金など資金繰りも綱渡り状態です。

苦しい日々でしたが、大学を中退していることもありとにかく、”やるしかありませんでした。”

30歳を過ぎるまでの約10年間は、ただ必死に目の前の仕事に取り組み会社を存続させるための苦労の毎日が続きます。

運命を変える出会い、そして継続と執念が生んだ”エアトリ”

転機が訪れたのは、30代の前半or中盤です。

ともにエアトリを立ち上げることになる吉村英毅氏(現ミダスキャピタル社長)との運命を変える出会いがありました。

吉村氏は当時の弊社の元社員から、「東大の学生でOTA(オンライントラベルエージェント)に取り組んでいる人がいる」という形で紹介を受けています。

OTA(オンライントラベルエージェント)とは、エアトリをはじめとするインターネット上で旅行に関するサービスを提供する旅行会社のことです。

当時インターネットが急速に広がっていたため、今後OTAは伸びる事業のひとつとして注目されていました。

ただ、吉村氏とは最初から共同でOTAを立ち上げるというより、航空券の卸先として関係性をスタートしています。

この運命的な出会いを最大限に活かし成功につなげられた大きな要因として、20代に目の前の仕事に懸命に取り組んでいたおかげで、JALとANAの契約を持っていたことが挙げられます。

JALとANAの契約を持っていなければ、吉村氏との取引には至らず、今のエアトリの姿はなかったでしょう。良くて旅行業界の中堅企業くらいで終わっていたような気がします。

しかし、20代の間に継続と執念でがむしゃらに働いていたおかげで、このチャンスをつかむことができたのです。

その後、吉村氏の会社と経営統合し株式会社旅キャピタルを創業。

OTAサービス「エアトリ」をスタートし、今日現在では国民的なサービスを目指せる位置まで成長しました。

また、新たに取り組みはじめたベトナムでのITオフショア開発事業の成功もあり、会社は大きく成長。

努力がついに実を結びはじめ、弊社は旅行業界の主要プレイヤーの一つとなりました。

上場、そして多角的な事業展開により継続的な成長を続ける

2016年3月31日には東京証券取引所マザーズ市場に上場、その後の2017年3月には東証一部へと市場変更を果たしました。

上場した頃から、エアトリは多角的な事業を展開しはじめています。

エアトリ経済圏と称し、エアトリ旅行事業の「エアトリ」を中心に、ITオフショア開発事業、訪日旅行事業・Wi-Fiレンタル事業、メディア事業、投資事業(エアトリCVC)など、多くの事業を展開してきました。2024年12月時点では、全17事業となっています。

多角的に事業展開によりエアトリは継続的かつ加速度的な成長を続け、2019年9月期には取扱高1,500億円の大台に到達しました。

しかし、2020年新型コロナウイルス感染症がパンデミックを引き起こし、旅行事業が主力であるエアトリは大きな打撃を受けます。

2020年9月期は減損控除後で約90億円の赤字計上と、会社は大きな危機を迎えました。

このとき、エアトリを救ったのは人との「縁」です。

人との縁で運良くPCR検査事業を開始することができ、またGOTOトラベルの開始により、会社の危機を立て直し、エアトリは再度大きな成長を実現。2021年9月期には過去最高である営業利益40.38億円を達成しました。

また、メディア事業を運営する「株式会社まぐまぐ(東証スタンダード 証券コード:4059)」やITオフショア開発事業の「株式会社ハイブリッドテクノロジーズ(東証グロース 証券コード:4260)」、訪日旅行事業・Wi-Fiレンタル事業の「株式会社インバウンドプラットフォーム(東証グロース 証券コード:5587)」など、複数のグループ会社が上場を達成。グループ全体の成長を加速させています。

旅行事業もコロナ後の旅行需要回復を捉えることに成功し、2024年9月期には取扱高1,235億円を突破しています。

今後もエアトリは、毎年1事業の新規事業立ち上げやエアトリ経済圏の戦略的なポートフォリオ構築により、営業利益50億円、そして100億円を目指して「終わりなき成長」を続けていく所存です。

目の前の仕事に懸命に取り組むことが成功につながる

エアトリがここまでの成長を果たせた大きな要因のひとつに、創業当初のがむしゃらな努力があったからかもしれません。

たった一人で営業し、土日返上で懸命に予約の紙を起こし、航空券の発券をする日々でした。

綱渡り状態の資金調達で時には、母親や親戚からも借金をしてなんとか会社を存続させていました。

しかし、このような苦難の日々でもあきらめることなく、懸命に目の前の仕事に自分なりに実直に取り組みました。

その結果、勝ち取ったJALとANAの契約が吉村氏との運命的な出会いを最大限生かすきっかけになりました。

まさに継続と執念が今日の成功につながっていると言えます。

たしかにエアトリのような規模の会社になると戦略的かつ多角的な事業展開も大切です。

しかし、まだ新しい会社を経営する若い経営者にはとにかく目の前の1事業に実直に取り組んで欲しいと思います。

今は私が起業した当初に比べると、新しい会社にとってチャンスの多い時代です。

内部留保が溜まれば金融機関からの融資を受けることができる、企業価値があればエクイティファインナンスの可能性もある、資金調達が多様化したことで、従来に比べてチャンスはかなり多くなっています。

なのでまずは、とにかく目の前の仕事に懸命に取り組み、内部留保の増加や企業価値の向上を目指してください。

事業のアイデアやチャンスは「出会い」や「縁」の中にある

今のエアトリを形作るきっかけとなった吉村氏との「出会い」、さらにコロナによる会社の危機を救った「縁」、事業のアイデアやチャンスはこのような日々の出会いや縁の中にあります。

現在展開している17の事業もまた、何気ない出会いから着想を得たものもあります。

先ほど、目の前の仕事に懸命に取り組むことが大切とお伝えしましたが、このような日々の出会いや縁を大切することも同じくらい重要だと思っています。

現在エアトリでは、エアトリCXOサロンにより若い経営者を支える取り組みを行っています。

自分がさまざまな人たちによって支えられたように、今度は自分が挑戦する人たちを支える番になったと考えています。

これからもキャッシュや人脈をはじめさまざまな面で、挑戦する若い経営者たちを支えていきたいです。