株式会社Creer
代表取締役社長

新卒で三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に入社し、証券マンとしてキャリアをスタート。長野県で新規開拓営業、京都府で富裕層向けアドバイザリー業務を経験した後、M&A業界へキャリアを転換。M&A仲介会社やグロース上場IT企業でのM&A仲介事業の責任者などのキャリアを通じて、業界の課題を肌で感じる。「買収後も見据えた真摯なコンサルティング」の必要性を確信し、2023年6月に株式会社Creerを創業。仲介手数料ゼロのビジネスモデルで、買い手企業に真正面から向き合うM&Aコンサルティング事業を展開している。
私たちが手がけているのは、M&Aにおける買い手企業向けのコンサルティング事業です。具体的には、戦略立案から売り主企業の選定、交渉、そして実行まで、一連のプロセスをすべてサポートしています。クライアント企業のM&Aチームの一員として、社外から伴走するイメージですね。ITや広告といった業界から、食品製造、運送会社、医療機器の商社まで、業種業態を問わず、「次の一手」に本気で向き合う企業のパートナーとして活動しています。
私はこの事業に辿り着くまで、常に経営者との接点を求め続けてきました。新卒で三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に入社したのは、就職活動の軸として「経営者と仕事がしたい」という強い思いがあったからです。入社後は長野県で新規開拓営業を1年間経験した後、京都府で富裕層向けのファイナンシャルアドバイザリー業務を1年半担当しました。経営者の方々が持つ独自の価値観や視点に触れるたびに、ますます経営者と関わる仕事の魅力に引き込まれていきましたね。
そこで次のステップとして選んだのが、M&A仲介業界への転職です。M&Aの仲介を通じて実績を積む中で、より深い部分での経営者の課題やM&Aの有効性を勉強することができました。
そうした経験を通じて、自分でビジネスを一からつくりたいという思いが強くなり、2023年6月に株式会社Creerを創業しました。最初は1人でのスタートでしたが、現在は数十人の仲間とともに業界の変革に挑戦しています。
弊社は業界では非常に珍しい存在で、仲介手数料を一切いただかないスタイルで事業を展開しています。業界の慣習から見れば、非常に異質な選択です。この選択の背景には、業界をより良くしたいという強い思いがあります。
M&A業界では、一般的に成約時にいただく仲介手数料が収益の柱となっており、1件の成約で3000万円ほどの手数料が発生します。しかし、この収益構造では、どうしても「M&Aを成立させること」そのものがゴールになってしまう傾向があるのです。営業担当者の収入が手数料に連動している以上、成約を急いでしまうのは避けられない構図だと感じていました。
そこで弊社では、月額報酬制を採用しています。従来の仲介手数料の約3分の1のコストでM&Aの成約が実現できる計算です。ただ、金額以上に大切なのは、この仕組みによって本質的な価値提供ができることです。
短期的な成約の有無に左右されず、M&A後の事業統合や組織文化まで見据えた議論ができるため、買い手企業の内部事情や事業特性を深く理解し、中長期的な視点で「買うべきか、買うべきでないか」を一緒に考えられるのです。これこそが、本来のM&Aコンサルティングのあるべき姿だと考えています。
創業当初、このビジネスモデルに対して懐疑的な声も多くありました。実際、案件獲得に苦労した時期もあり、自分が信じる道と現実の間で悩んだことも事実です。それでも、長期的に業界へ貢献したいという思いを貫き続けたことが、今では弊社の確固たる強みとなっています。
最も大きな転機となったのは、事業が成長する一方で、組織や仕組みがその成長に追いつかなくなった時期です。売上は拡大しているにもかかわらず、現場の疲弊や判断の遅れが目立ち始め、強い危機感を覚えました。
この状況を招いた背景には、私自身の失敗がありました。特に印象に残っているのは、「良かれと思って、判断を急ぎすぎたこと」です。成長スピードを落としたくない一心で、十分な対話や検証を待たずに決断を下し、結果として周囲の理解や納得を置き去りにしてしまいました。その結果、メンバーが自律的に判断できない状態を生み出してしまっていたのです。そこで私は、「自分がすべてを決める経営」から、「適切な人が適切なタイミングで判断できる経営」へと舵を切りました。それまで正しいと信じてきたやり方を手放す決断でもありました。短期的な効率を追うのではなく、役割分担や意思決定プロセスを見直し、組織として無理なく前に進める状態をつくることを最優先にしたのです。
この経験から学んだのは、経営において重要なのは速さと深さのバランスだということ。今では判断する前に「この決断は、関わる人たちが腹落ちできるものか」と自分に問い直すことを、大切な習慣にしています。
私たちが見据えているのは、3年後にM&A業界で新たなスタンダードを確立することです。現状は、仲介を行う企業がM&A業界の中心的な役割を担っており、弊社のような企業は少し変わった存在として見られがちです。しかし、3年後には、M&Aコンサルティングが主流の選択肢として認知されている状態を実現したいと考えています。
また、これから数年で、後継者不足により多くの中小企業が岐路に立たされると言われています。そうした状況だからこそ、M&A業界がより良い方向へ進んでいければ、小さな会社や、地域や業界に必要とされている会社が次の時代へ続いていく道が開けるはずです。
今後、後継者不足を背景に、多くの中小企業が大きな決断を迫られます。そのとき、M&Aが「追い込まれた末の選択」ではなく、「未来をつくる手段」として機能するかどうかは、私たち業界側の姿勢にかかっていると思っています。
もちろん、こうした大きな変化は一社で成し遂げられるものではありません。ただ、私たちでもできることがあります。それは、一人でも多くの人が幸せになれる選択肢を示すことです。株式会社Creerを通じて社会に価値を提供し、世の中を豊かにして、日本の底力を引き出していくために、これからも目の前のクライアントに全力で向き合っていきます。
周囲から「まだ若いんだから大丈夫」と言われることは、誰しも経験があるのではないでしょうか。私も20代前半のころ、何度もそう言われ、今でも先輩経営者から同じような言葉をいただきます。この言葉自体は決して悪いものではありませんが、これを理由に行動を先延ばしにしてしまうのは、本当にもったいないと感じています。
というのも、いろいろな経験を積んできた今でも、もっとやっておけばよかったと思うことの方が圧倒的に多いのです。だからこそ、皆さんには年齢に関係なく、今この瞬間にやれることを精一杯やり切ってほしいと心から思います。
加えて、行動と挑戦を繰り返し、失敗もたくさん経験してください。実は私の20代は失敗の連続でした。営業では最初は思うような成果が出ず、心が折れかけたことも何度もあります。しかし今となっては、その一つひとつが大きな財産です。現在、弊社を経営する中で、日々さまざまな困難に直面しますが、若いころに失敗した経験があるからこそ素早く立ち直り、前進し続けられています。失敗は決して無駄ではなく、むしろ将来の武器になります。
厳しい環境で揉まれたい、大きな目標に向かって挑戦したいという情熱を持った方がいらっしゃれば、ぜひ弊社のドアを叩いていただきたいですね。M&Aとスタートアップという環境は、間違いなく圧倒的な成長機会を提供できます。
業界の常識を疑い、自分の頭で考え、価値をつくり、社会に貢献していく。
そんな挑戦を一緒にできる仲間を、心からお待ちしています。