CEO’s

人間とAIの協働で営業の在り方を変革し、少人数で大きな成果を生む時代へ

SAMURAI CEO2026

株式会社ディグロス
代表取締役社長

大村 剛

ベンチャー企業でWeb制作を経験後、人材派遣のスタートアップ企業に転職。テレアポ営業をゼロから習得し、トップの成績を収める。その後、異業種であるおにぎり屋の立ち上げに挑戦。夜明け前から厨房に立ち、試行錯誤を重ねながら法人営業の手応えを掴む。2009年、それまでに培った営業力とマーケティング力を生かし、株式会社ディグロスを設立。
BtoB特化の営業代行業として1600社超の実績を積み、成果報酬型営業代行で業界1位を達成。現在はAIを活用した営業オートメーション領域へと事業を拡大し、営業の全プロセスの最適化に挑んでいる。

おにぎり屋の厨房で見つけた、「売れる仕組み」の本質

私が営業の世界に本格的に足を踏み入れたのは、実は少し回り道をしてからのことです。キャリアの第一歩は、小規模なベンチャー企業でのWeb制作でした。ここでは営業を経験しておらず、まさかその後営業を軸にした事業を立ち上げることになるとは想像もしていませんでした。

営業の面白さに気づいたのは、人材派遣系のスタートアップ企業に転職し、テレアポ営業を担当するようになってからです。学びながら実践を重ねていくうちにトップの成績を収められるようになり、「自分の行動が直接成果につながる」という営業の魅力を肌で感じるようになりました。

そして人生には面白い転機が訪れるもので、次に私が挑んだのは、なんとおにぎり屋の立ち上げでした。飲食業の経験は学生時代のアルバイトしかありませんでしたが、新しいことへの好奇心が勝り「まずはやってみよう」とチャレンジすることにしたのです。早朝から厨房に立ち、お客様のもとへ朝食を届ける日々は、体力的に大変でしたが、得られるものも大きかったですね。

この事業を通じて最も成長したのは、マーケティング力です。当初は店舗で個人向け販売を行っていましたが、ロケバスからの相談をきっかけに法人需要の存在に気づきました。そこで、「どうすればもっと売れるのか」「誰にどんな形で届ければ喜んでもらえるか」を徹底的に考え、法人向けにシフトした結果、売上が大きく伸びたのです。この試行錯誤の過程で、営業やマーケティングの実践的なスキルも身に付いていきました。

こうした現場での学びが「自分で事業を立ち上げてみよう」という思いへとつながり、2009年に株式会社ディグロスを創業しました。

テレアポを知り尽くしているからこそできる、成果が出るBPOサービス

私たちディグロスは「営業のすべてを、もっと自由に。もっとスマートに。」というビジョンのもと、企業の営業活動を根本から支援する事業を展開しています。

その中核を担うのがBPO(営業代行)事業です。商談やアポイント獲得を代行し、営業部門の完全アウトソーシングから部分的な補完まで、幅広いニーズに応えてきました。1600社を超える支援実績を持ち、成果報酬型営業代行では業界トップの地位を確立しています。新規開拓をせずとも、問い合わせや紹介だけで十数年間事業を継続できており、これは、お客様から『パートナー』として頼られ続けてきた証だと自負しています。

そして今、成長領域として力を入れているのが「セールスオートメーション」です。特に2025年にリリースした『AIテレアポ』は大きな反響を呼んでいます。受付突破までをAIが自動で行い、担当者との対話だけを人が担当する設計により、効率性と成果の両立を実現しました。架電数の増加によってアポイント獲得数が向上するだけでなく、担当者の精神的負担の軽減により離職率も大幅に改善しています。

弊社の競争力の源泉は、マーケットインの思考と現場理解です。テレアポの実態を熟知しているからこそ、しっかり成果が出るように、対話の設計や応答のロジックなどを細部まで突き詰められるのです。

また、成長過程にある組織ならではの柔軟性も弊社の強みと言えるでしょう。実際、現場の社員から「こんなサービスがあれば便利ではないか」という声が上がり、それがプロダクト開発につながったケースもあります。

一人ひとりの意見が事業を動かす、そんな風通しの良さが弊社の特徴ですね。

20人の仲間との別れが教えてくれた、リーダーとしての「伝える責任」

十数年にわたり会社を運営してきましたが、おかげさまで順調な成長を続けてきました。しかし、ある時「さらに高い目標を掲げて挑戦しよう」と決意し、経営のギアを一段階上げることにしたのです。

新しい方向性を示し、それに向かって進むということは、必然的に組織文化の変革を伴います。私たちも例外ではなく、ある事業部で1年間かけて20人の社員が徐々に入れ替わっていくという経験もしました。組織として正しい方向に進んでいると感じながらも、一緒に歩んできた仲間との別れには、やはり複雑な思いがありました。

この経験が私に教えてくれたのは、「どう伝えるか」が「何を伝えるか」と同じくらい重要だということです。同じ目標を目指していても、伝え方や配慮の仕方によって、メッセージの受け取られ方は大きく変わります。たとえば、会社の成長に伴う制度変更を進める際、単に「新しいルールに従ってください」と伝えるだけでは不十分でした。特に、長年にわたって組織を支えてきたメンバーには、それぞれの信念や誇りがあります。当時の私は、そうした思いへの配慮が十分ではなかったと、今になって気づかされました。

現在は、自分の思いを率直に伝えながら、その背景や意図までしっかり共有することを心がけています。このバランスが、信頼関係を保ちながら組織を前進させる鍵だと考えています。

「気合と根性」はAIに。人は「心を動かす仕事」を

弊社の今期売上はおおよそ20億円ですが、来期には40億円、その翌年には70億円、さらにその次の年には100億円と、1年単位で大きく成長していく戦略を描いています。この成長を支えるのが、直近で注力しているAIテレアポの展開です。

そしてその先には、「自律型のセールスエンジン」の開発という大きな目標があります。現在、海外や日本の大学と連携しながら、研究開発と技術開発を並行して進めているところです。

このエンジンは、依頼を受けたAIが市場調査から競合分析、営業手法の構築までを自律的に行う画期的なシステムです。もちろん、すべてをAIに任せるわけではありません。商談や顧客との関係構築といった、人間ならではの強みを活かすべき領域は人が担当します。このハイブリッド型の営業体制により、少人数で大きな成果を生み出す企業が次々と誕生するでしょう。

営業という仕事の本質を守りながら、その在り方を根本から進化させていく挑戦をこれからも続けていきます。

結果を恐れず挑戦してほしい。どんな経験も後で必ず生きてくる

チャレンジしてみたいことがあれば、ぜひ挑戦してみることをおすすめします。仕事に限らず、どんな経験でも構いません。私自身、おにぎり屋での経験が今の会社の基盤になっているように、一見関係ない経験でも、後になって必ず生きてくるものです。結果を恐れる必要はありません。若いうちの失敗は、立ち直れないようなものではないはずですから。

私が一緒に働きたいと思うのは、そうした「何事もとりあえずやってみる」という姿勢を持った人です。行動した人とそうでない人の間には、最初はわずかな違いしかありません。しかし、その小さな一歩を踏み出せるかどうかが、大きな差を生むのだと思っています。失敗しても立ち上がれるように私たちが全力でサポートするので、ともに挑戦しましょう。

営業の仕事には難しさもありますが、だからこそ創意工夫のしがいがあります。「このやり方ならうまくいくんじゃないか」と仮説を立てて実践する。そのプロセスを楽しめる人は着実に成長していくでしょう。私自身、「どうすればもっと良くなるか」を考え続けることを大切にしているので、そういった思考を持つ方とは価値観が合うはずです。自分のやりたいことを形にしたい、チャレンジを楽しみたいという熱意をお持ちの方は、ぜひディグロスの門を叩いてください。