株式会社shabell 代表取締役
守岡 一平
和歌山県出身、明治大学商学部商学科卒業。2006年、株式会社ホリプロに入社し、タレントマネジメント業務に従事。2008年、株式会社マイナビに中途入社し、新卒採用のコンサルティングに営業職として従事する。500社以上の新規開拓を行い、当時最年少で営業部長に就任。その後、マイナビの独立支援制度の第一号として2016年、DiG株式会社設立。2021年7月、株式会社shabellに社名変更。しゃべるだけでポートフォリオが作れるサービス「しゃべりお」をリリースし、メディアや業界、投資家から多くの注目を集めている。
壁にぶつかるも、諦めずに新規事業への投資を続けた
私は2016年2月に、当時33歳でDiG株式会社を創業しました。新卒領域をメインとする人材紹介業を主軸とした企業でした。独立のきっかけはマイナビ時代、営業としての業務を通して多くの経営者と接することで、同年代の経営者たちに置いていかれる焦りを感じたこと、そして自分の提案できる商材を拡げて多角的な採用支援ができるようにしたいと考えたことでした。
幸い、独立後もマイナビ時代からのクライアントが繋がりを持ってくれたこともあり、順調に事業は成長していきました。今思えばマイナビの独立制度を受けての起業だったことで、信頼を得やすかった部分もあったと思います。
経験しました。一つは事業を作る難しさに直面したことです。
創業から現在に至るまで5つの新規事業を作りましたがそのうち4つはつぶしてしまいました。もともと「10個中1個成功すれば」という思いではあったものの、実際に直面してみると想像以上の難しさがありました。それでも新規事業開発を続けたのは、上場という目標、そして「新しい価値基準を創造し、すべての“らしさ”を体現できる社会を築く」という今の企業理念に続く思いがあったことが大きかったです。
また、もう一つの壁としてコロナウイルスの流行がありました。経済が停滞し、先行きが不透明となったことで起業の採用活動も消極的になりました。当然人材業界は大きな影響を受けることになり、当社も例外ではありませんでした。売上は大きく減少し、経営のコントロールが難しくなったのは言うまでもありません。
しかし、そんな中でも新規事業への投資を止めることはありませんでした。それは、いつかコロナが開けたときに他の企業より早くスタートを切れると考えたからです。
結果、この時期に「しゃべりお」の原型となるサービスの開発に着手し今に至っています。
「しゃべりお」で職務経歴書の文化を無くしたい
「しゃべりお」はプロにしゃべるだけでポートフォリオが作れるサービスです。転職を考えている第二新卒などの若者向けに考案しました。
実は元々は「しゃべりお」の前身である「shabell」というアプリを開発していました。「shabell」というアプリでは自分のなりたい仕事のプロに直接話を聞くことができるのがメインとなる機能で、スキルシェアを目的として開発したものでした。
しかし、プレリリースを経てモニターを行っていくに連れ、「初めましての人に将来の夢を語る」ことや、「その道のプロに話を聞きに行く」ことの心理的なハードルがあることがわかりました。さらに、若者の多くが「やりたいことがないこと」に悩んでいることもわかりました。
そこで、これまでの事業開発の経験からこうしたマーケットとのミスマッチを放置してはいけない、と感じ現在の「しゃべりお」へのリニューアルを進めたのです。やりたいことがないと悩んでいる若者たちにしゃべるだけで自分の適性や可能性を理解してもらえるようなサービスづくりへと転換していきました。
求職者の本質的な魅力を伝えたい
社会人経験が浅い第二新卒にとって、職務経歴書を書くのは難しいです。特別な資格などでもない限り、まだ多くの実績があるわけではない人も多く、自分の本当の適性がわからないこともあります。そこで「しゃべりお」では、国家資格であるキャリアコンサルタント資格を保有するプロに直接相談することで、これまで言語化しづらかった自身の経歴から見る適性などを理解することが出来、そのままそれがポートフォリオになることで、自分の魅力を最大限企業にアピール出来ます。
企業側もただ経歴を見るだけでなく、その人の本質的な魅力を知ることで、より入社後ギャップを無くせることも大きな魅力だと考えています。
現在、まだまだ発展途上のサービスなのですが、最終的には「しゃべりお」を通して職務経歴書を書く文化をなくしてしまいたいと思っています。
サービスを通して社会貢献し、採用文化に大きな影響を与えたい
今後、この「しゃべりお」を武器に、創業当初からの目標の一つである上場を成し遂げたいです。
それは単に僕自身が上場企業の社長になりたいからではなく、自社のサービスを通して社会貢献をできること、そしてその価値を認めてもらうことで日本の採用文化に大きな影響を与えられると思うからです。それこそまさに「新しい価値基準を創造し、すべての“らしさ”を体現できる社会を築く」ことだと考えています。